明治公園に暮らす野宿者へのオリンピック強制執行、Bさん不当逮捕に抗議する
2016年4月16日
<野宿者に強制執行、強行!>
本日4月16日早朝7時、明治公園に暮らす野宿者のテントに東京地裁の執行官約25名が押し寄せ、強制執行が抜き打ち強行されました。JSCが申し立てた土地明け渡し仮処分申立に対し昨日15日決定を出したこと、荷物は豊洲の倉庫に強制移動する旨を口頭で告げるやいなや荷物をまとめ退去するよう命令。猶予はわずか20分。実際には15分も待たずに、中にいた数名が次々と複数の執行官に取り押さえられ押し出される形で強制的に公園の外へ追い出されました。野宿者の生活通路として唯一確保されてきた出入り口は、その時点で大勢のアルソックの警備員によって封鎖され、急報に続々と駆けつけた人々とも物理的に遮断された状態でした。中の様子もわからず、立ち会いすら出来ない状態でトラック5台が園内に乗り込み、野宿者の命の砦である小屋・テント、生活物資・荷物、応援する有志が置いていた所有物、共有物のすべてを持ち去っていきました。
<東京地裁の仮処分決定に抗議する>
東京地裁民事9部は今回、野宿者3名が明治公園の敷地のほぼ全域を占有しているという実態とあまりにも異なるJSCの主張を鵜呑みにし、元明治公園=都有地を無償で貸与されたというだけの立場に過ぎないJSCに「土地を明け渡せ」などという前代未聞の決定を下したことになります。JSCが強行する新国立競技場、まだ基本設計すら出来ていない競技場建設工事着工を理由にしたところで、野宿者に対するJSC仮処分申立にはまったく理がないことを、3月24日の審尋で私たちは代理人弁護士とともに司法に問いました。東京地裁はその後の問い合わせに4月1日に担当書記官が変更となったことのみ返答。特別送達を持って通知する、それ以外は一切答えられないと、一方的に債務者と名指しされた野宿当事者がこうむっている精神的苦痛にさらに塩を塗るような返答をくりかえし、答弁書への回答はおろか、仮処分決定が下されたことも知らされないまま、本日、強制執行に着手しました。
通常は仮処分決定ののち執行手続きがとられるはずが、決定の翌日それも早朝に大勢の警備を用意しての強制執行を行ないえた事実に今回の司法判断そのものへの疑念、不信感をぬぐえません。裁判所が徹頭徹尾、JSCを利する側に立ったことは明らかであり、オリンピックを理由にした野宿者の生存を脅かす強制排除にあろうことか司法が手を貸した事実を決して許すことは出来ません。
<荷物を返せ!生活を返せ!>
今回の強制執行で、明治公園に暮らしてきた野宿者は、JSCの強権発動により生活基盤を丸ごと奪われました。
私たちは荷物の取り返しと生活再建に全力で動くと同時に、JSCそして元明治公園敷地を所管する東京都オリンピック・パラリンピック準備局への広範囲からの抗議集中を呼びかけます。野宿者への仮処分を絶対に許しません。社会基盤の欠けた状況下、何もない中から自力で生活を立て直し生き抜いてきた明治公園野宿住人は、応援する有志とともにJSCに対し、脅迫まがいの退去強要ではなく現地住人の意に添う誠実な話し合いによる解決を求めてきました。7回もの団体交渉を持ち「話し合いで解決していく」「強制排除をしない」「人の暮らしている間は工事はしない」等の合意事項を結んできました。
しかしJSCは昨年7月の新国立競技場計画「白紙撤回」以降、工事計画変更に関しても連絡を一切怠り、昨年12月になって住民説明会の場でこれまでの合意事項について「引き継いでいない」と一方的に反故にした上、今回の仮処分申立により、裁判で争う以前に野宿者の生活基盤そのものを強権によって奪いとるという究極の強制排除を実行しました。これらは、憲法25条、ホームレス特別措置法にさえ明確に反する上、国際人権規約そしてIOC(国際オリンピック委員会)オリンピックムーブメント・アジェンダ21にも違反します。このことについて、明治公園野宿住人はこのかん、JSCのみならず東京都オリンピック・パラリンピック準備局及びスポーツ庁に対し申し入れを行なってきました。しかしそうした関係行政すら今回のJSCの暴挙を見過ごし、強制排除を事実上容認したことに私たちは抗議します。
<不当弾圧に抗議する!Bさんをただちに釈放しろ>
そして許しがたいことに、この強制執行の過程で、私たちの友人であり、明治公園に暮らす野宿生活者を応援する有志の一人であるBさんが不当逮捕されました。9時40分頃、野宿者が命をつないできた全財産である荷物を積みこんだトラックがゲートから出るその瞬間、動員された数え切れないほどの警察官、警備員が私たちの抗議を暴力的に阻みました。次々と道路向かい側まで引き摺り出される混乱の中で、Bさんに3人の執行官が襲い掛かり、警察車両に押し込め連れ去りました。現在、原宿署に不当に勾留されています。
Bさんにかけられた容疑は「強制執行行為妨害」です。野宿住人に対し、土日は荷物の引き取りは出来ない、月曜に遠方の豊洲まで取りに来いと言い放った執行官に抗議し、荷物、中でも路上の夜間の寒さから命を守る毛布等は今晩にも必要だとして、直ちにこの場で引き渡すよう要求したBさんの行為はまったくもって正当です。
民事執行法は168条において、
「5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない」、「6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかったものがあるときは、これを保管しなければならない」 としています。
再三の引き渡し要求にもかかわらず、荷物を強引に持ち去るという違法行為をはたらいたのは、他ならぬ執行官です。今回、持ち去られた荷物の中には、野宿住人の生活や稼ぎに必要な道具一式、身分証明書など大事な物も含まれていました。Bさんや応援する有志の私物もたくさん持ち去られています。
その場で引き渡さねばならないはずの荷物を運び出す時間も満足にとらず公園から強制排除し、荷物を持ち去った執行官及びJSCの違法行為を、私たちはBさん同様、決して許すことは出来ません。Bさんを一刻も早く取り戻すための救援活動を開始します。ご協力ご支援をお願いします。
2016年4月16日
明治公園野宿住人
国立競技場周辺で暮らす野宿生活者を応援する有志
新国立競技場3.2-4.16弾圧救援会
<連絡先>
★オリンピック強制排除について
国立競技場周辺で暮らす野宿生活者を応援する有志
メール noolympicevict@gmail.com
ブログ http://noolympicevict.wix.com/index#!g/u1ok7
ツイッター https://twitter.com/noolympicevict
★Bさん救援について
オリンピックによる野宿者追い出しを許さない 新国立競技場3.2-4.16弾圧救援会
メール shin.kokuritu.danatu@gmail.com
ブログ http://oidashisuruna.blogspot.jp/
ツイッター https://twitter.com/reclaimmpark
【救援カンパ】
一刻も早くBさんを取り戻すために支援と連帯をお願いいたします!
みずほ銀行渋谷支店(普)9095210 「のじれん」
郵便振替口座 00160-1-33429 「渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合」
※「救援」の旨明記ください。
※ 明記が難しい場合、カンパ額の一桁目を「9円」にしていただくとたすかります。例)1009円